ハンバーグは、カレーや肉じゃが、唐揚げと並ぶ「家庭料理の定番」といわれます。年代を問わず好きな人が多く、家庭でリクエストされる日も多いのではないでしょうか。
ただハンバーグは、お店のようにふっくらジューシーに仕上げるのが、実はとても難しい料理でもあります。
タネのこね方一つとっても奥深く、「実はハンバーグは苦手」「いつも失敗する」と悩む人も少なくありません。
今回は老舗の精肉専門店が、ハンバーグのよくある失敗例と「もう失敗しないコツ」を解説します。
最後まで読めば、ご家庭でつくるハンバーグがワンランク上がること、間違いなし!今夜は美味しいハンバーグで、食卓に笑顔の花を咲かせてみませんか。
ハンバーグによくある失敗例5つ<原因と対策>
ハンバーグづくりでよく起きる失敗例を5つ、紹介します。失敗の原因もまとめました。
「ハンバーグがうまくできない」と悩むのは、あなただけではありません。安心して読み進めながら、ハンバーグづくりを上達させる秘訣をチェックしてみてください。
1. ハンバーグのタネが柔らかすぎる
こねあがったタネが柔らかすぎるという失敗は、ハンバーグ作りに対するやる気をしぼませます。タネがべちゃべちゃで成形できなければ、そもそもハンバーグになりません。
タネが柔らかすぎる失敗は、タネに含まれる水分量の多さで起こります。ひき肉だけのハンバーグより豆腐ハンバーグの方が柔らかくなりやすいのと、同じ原理です。
◎ レシピの分量を守っているのに、柔らかいタネになる原因
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玉ねぎは、しっかり炒めてから入れていますか?
玉ねぎは私たちが思う以上に、水分を含んでいます。生のまま、あるいは炒め足りないまま入れると、タネに必要以上の水分が加えられてしまいます。
とくに新たまねぎは、水分たっぷりです。十分に炒めて水分を飛ばしてから加えるようにしましょう。
またひき肉は、玉ねぎや卵などの具材を加える“前に”十分にこねます。具材を加えるとタネがゆるくなりやすいだけでなく、肉同士の密着度が弱まり粘り気が出にくくなります。
肉の粘り気は、肉汁を閉じ込める大切な役目を果たします。粘り気が出るまでしっかりこねるためにも、具材の先入れは避けましょう。
2. ハンバーグの味が薄い・味がぼやける
「ハンバーグはソースが味を決めるから」と、タネへの味付けを薄めにすると、失敗します。
タネへの味付けを控えたために、肉のうま味を感じられず、ぼやけた味のハンバーグになった経験はないでしょうか。
ハンバーグは、タネの段階でしっかりと塩味をつけましょう。
ひき肉と塩の最適な分量は、以下を目安にしてください。
◎ 味がビシッと決まるハンバーグの塩分量肉の総量に対して1% ※ ソースが濃いめのときは0.8% |
ひき肉300グラムの1%は、3グラムです。500グラムのひき肉なら、5グラムの塩を加えます。「こんなに入れて大丈夫?」と思うかもしれませんが、試してみてください。
味が引き締まります。
<参考>塩のはかり方
- 小さじ1杯が約5グラム
- 親指と人差し指でつまむと約0.6グラム
- 親指と人さし指、中指の3本の指でつまむと約1グラム
塩は肉のたんぱく質を溶かし出し、網目状に凝固して粘り気となります。粘り気は肉汁を閉じ込めるためにも、欠かせない存在です。
欧米で好まれる肉の味わいが前面に出た力強いハンバーグは、ひき肉と塩だけでつくられることもあります。塩は、つなぎの役目も果たしているのです。
3. ハンバーグに肉のくさみが残る
「焼きあがったハンバーグを食べたら、肉のくさみを感じた」、そんな失敗もよく聞かれます。
せっかく丹精こめてつくったハンバーグなのに…、とがっくりしてしまうかもしれません。
ハンバーグのくさみは、ひき肉のドリップが原因です。
ドリップとは肉を解凍したときに溜まる赤い汁です。血のように思えますが、実は肉の内部から分離して出た液体。たんぱく質やビタミンを含みます。
ハンバーグのタネをつくる際に、このドリップも一緒に入れるとくさみの残ったハンバーグになります。ドリップそのものがくさみを持つためです。
◎くさみのないハンバーグをつくるコツ3つ
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冷凍状態のひき肉は、使う前日に冷蔵庫に移して解凍します。低温で時間をかけて解凍したほうが、ドリップが出にくいためです。
もしドリップが出てしまったら、しっかり取り除きましょう。ボウルにキッチンペーパーを2枚敷き、ひき肉を乗せておくとキッチンペーパーがドリップを吸収してくれます。
さらにくさみを消すなら、以下の材料がおすすめです。好みに合わせて使い分けてみてください。
<肉のくさみ消しにつかえる材料>
- ナツメグ
- 牛乳
- 赤ワイン
- ブラックペッパー
4. ハンバーグの中心が生焼け/焼き過ぎて肉がパサパサ
「ハンバーグは、焼き加減が難しくて失敗する」という人もいます。
焦げ目がついて美味しそうに見えるのに、割ってみたら生焼け。あるいは生焼けを避けたいがあまりに焼き過ぎて、パサパサになってしまったというケースも経験あるのではないでしょうか。
焼いている最中のハンバーグは、中心部が見えません。焼き加減の見極めが難しく、これを理由にハンバーグづくりに苦手意識を持つ人も多いようです。
ふっくらしていて、割ると中からジュワッと肉汁が流れだすようなハンバーグを焼くコツは、成形と火加減の2点です。
◎ ハンバーグの生焼けを防ぐコツ 生焼けを防ぐには、ハンバーグを厚くしないことが大切です。ついレストランで出される大きくて厚みのあるハンバーグに憧れますが、あのハンバーグはプロ仕様のキッチンでプロが焼くからこそ、完璧に焼けます。家庭で厚みのあるハンバーグを見事に焼くのは難しいと割り切って、中心をしっかりへこませて成形しましょう。厚くても2センチ程度、ほとんど中央がないのでは?と感じるほど薄くしてもOK!焼くうちにふっくらとふくらみ、美しいハンバーグになってくれます。 |
◎ ハンバーグをパサパサにしないコツ パサパサの焼きあがりを避けるには、以下の2ステップで焼いてみてください。
「焦げそう」と最初から弱火で焼くと、肉汁がどんどん流れ出てしまいます。最初に素早く焼き色をつけ、肉汁が流れ出る隙間を防ぎましょう。 その後、弱火で時間をかけてしっかり火を通します。蓋をして蒸し焼きにしても良いですよ。 |
5. ハンバーグを焼くと型崩れする
「きちんと卵型に成形したのに、焼く途中でボロボロ崩れた」「ハンバーグを焼く途中でいつも割れ、きれいに焼きあがらない」といった悩みも、ハンバーグの失敗でよくある例です。
崩れた場所から肉汁が流れだし、パサパサになってしまうのも残念なポイント。
焼いている最中にハンバーグの型崩れを防ぐコツは、2つあります。
◎ 肉をしっかりとこねる ひき肉のこね方が足りないと、肉の組織同士が密着せず型崩れにつながります。 材料をこねるときは、塩を加えたひき肉「だけ」を十分にこねてください。 |
そのほかの具材は、肉に粘り気が出て固まってから加えます。
◎ 空気を抜きながら成形する ハンバーグの成形解説では、よく「両手でキャッチボールするように空気を抜く」とあります。実はこれが、とても大切です。成形したハンバーグの中に空気が残っていると、フライパンの熱によって空気が膨張します。膨張した空気がタネの隙間を押し広げ、型崩れの原因になるのです。キャッチボールのステップを軽視せず、しっかりと空気を抜きましょう。ただしあまり強くキャッチボールし過ぎても、タネが割れてやり直しになります。やさしく、それでいて力強くという絶妙な力加減を見つけてください。 |
お店のようなハンバーグを焼くコツ
お店のようなふっくらとジューシーなハンバーグを、家庭で焼けたら?食卓の幸福度が上がること、間違いなしではないでしょうか。
ここからは家庭のハンバーグをお店ランクに仕上げるコツを、4つ解説します。
材料
まず材料から見てみましょう。
ひき肉
ハンバーグに欠かせないひき肉は、肉の種類と挽き方に注目します。
牛肉は肉のうま味が凝縮した、肉感が強いハンバーグになります。豚肉は食感が柔らかく、ふっくらとした仕上がりです。
ハンバーグによく使われる合い挽き肉は、牛肉と豚肉が混ざっています。一般的にハンバーグ用として販売される商品は、「牛7:豚3」「牛6:豚4」が多いようです。
肉の味を楽しみたいときは牛肉の割合が多いひき肉を、お子さんやシニアの方と食べたいときは豚肉の割合が多いひき肉を、と意識して使い分けてみてください。
また肉本来の味わいを活かした力強いハンバーグには、牛肉100%のひき肉もおすすめです。
さらに肉の挽き方にも、注目です。
スーパーで一般的に売られているひき肉は、肉が細かく引かれた「細挽き」です。ただ細挽き肉に、粗挽き肉を加えると、食感のインパクトがある、食べ応えのあるハンバーグになります。
玉ねぎ
水分をしっかり飛ばすため、玉ねぎは十分に炒めてから加えます。
玉ねぎは炒めるほどかさが減ります。ハンバーグに入れる場合、炒めはじめの3割程度の分量を目安にしましょう。
また玉ねぎは、粗熱をしっかりとってからひき肉に加えてください。「時短になる」と熱いまま加えたくなりますが、それはNGです。
玉ねぎの熱がひき肉の脂分を溶かし、タネをドロドロにしてしまいます。
また炒めない、フレッシュ玉ねぎをあえて使う人もいます。みじん切りにした玉ねぎは食感が残り、ハンバーグにアクセントを加えてくれます。
ただし粗みじん切りの玉ねぎは、焼きの途中でハンバーグが割れる原因になります。フレッシュ玉ねぎを使う場合は、細かく刻んで入れてください。
隠し味
ハンバーグのコクを増したり、食感を良くしたりする隠し味の一例を紹介します。冷蔵庫にある食材が、ハンバーグに味わいをプラスしてくれる場合もありますよ。
ぜひ、気軽に試してみてはいかがでしょうか。
- 味噌(味噌と肉のうま味成分が相乗効果を発揮)
- コンソメ(うま味を加えつつ、肉のくさみを消す)
- コーヒーゼリー(苦味とコクが、奥深い味わいに)
- 粉ゼラチン(コラーゲンの保水力が肉汁を閉じ込める)
- とろろ(加熱によりふわふわの食感になる)
- おから(パン粉の代用に。ふんわりしつつ、重量感のあるハンバーグに)
こね方
肉は具材を加える前に、粘り気が出るまで十分にこねます。
この時、肉をできるだけ冷たい状態にキープしましょう。細かく挽かれた肉は熱の影響を受けやすく、手の平の熱でも脂が溶けだし、ドロドロになります。
タネがドロドロにやわらかくなると、成形時に手にはりつき、綺麗な形に整いません。
脂を溶けださせず、うま味を閉じ込めたハンバーグを焼くために、次のポイントを意識してみてください。
- 肉はこねる直前まで冷蔵庫に入れておく
- 肉をこねるボウルを氷水につけ、冷やしながらこねる
- 力を入れて、短時間でこね上げる
- 成形したハンバーグを再び冷蔵庫で冷やす
焼き方
ハンバーグを焼くフライパンは、十分に加熱しておきます。加熱が不十分なフライパンで焼くと脂が溶けだし、焼きの途中で型崩れを起こします。
中火にし、成形時にへこませた面を下にして焼き始めてください。へこませた面に焼き目を付けておくと、焼いてふくらんだ際の型崩れを防げます。
両面に美味しそうな焼き色がついたら、火を弱め、蓋をしてじっくり中心部まで火を通しましょう。少量の水か赤ワインを入れ、蒸し焼きにする焼き方もおすすめです。
火を止めてから生焼けに気づいたら、電子レンジで再加熱すればOK。煮込みハンバーグに変更して加熱し直しても良いですね。
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まとめ
ハンバーグの失敗例は、探し始めるとキリがないほど見つかります。それだけ美味しくつくるのが難しく、しかし「我が家のレシピ」を追求したくなるメニューなのでしょう。
ハンバーグの失敗は、記事で紹介した方法で回避できます。コツは「肉を先にしっかりこねる」「玉ねぎは十分炒め、粗熱をとってから加える」「成形で空気を抜き、焼き色をつけてから火を通す」といったところでしょうか。
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